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私たち、ブドウ農家になりました!

2017-04-28

千葉県出身の千葉祐彦さん・夕香里さんご夫妻。就農を目指し、甲斐市龍地に移住して3年。
ブドウ農家としての、新たな暮らしが始まっています。

大好きな山に囲まれた、自然が豊富な場所で暮らしたい

ぶどうの剪定をする祐彦さん共通の趣味である山登りを通して出会い、4年前にご結婚された千葉祐彦さん・夕香里さんご夫妻。結婚後も、週末を利用してよく山登りに出かけていたそうで、「当時住んでいた千葉県柏市からは、中央自動車道を利用すれば車で2時間程度。2人ともこの辺りの風景が好きだということもあって、南アルプスや八ヶ岳に来ることが多かったですね」と祐彦さん。夕香里さんも、「山梨には、素敵な山がたくさんありますよね。2人とも関東平野で育ったせいか、山のある風景への憧れもあり、こちらへ来るたび、『こんなところで暮らせたらいいよね』なんて話していたんですよ」とにこやかに振り返ります。
もっとも、最初は夢物語と思っていたそうですが、ふと、「暮らす場所は選べるんだ」と気づいたことから、「山梨で暮らすにはどうすればいいんだろう」と考えるようになり、「せっかく山梨に行くのだから、山梨だからできること、山梨でしかできないことをしたいね」「だったら、農業だよね。ぶどうとか、桃の栽培なんていいよね」と、期待も膨らんでいきました。
「そうはいっても、二人とも農業はまったくの初心者。家庭菜園すら経験がなかったので、本当にできるのかという不安もありました。そこで、『まずは体験してみよう』ということになっていろいろと調べたところ、山梨県内のぶどう農家で援農ボランティアを募集していることがわかったんです」。初心者でも大丈夫と聞き、さっそく参加することにしたお二人。4月から9月にかけて月1回のペースで山梨に通い、 一通りぶどう栽培を体験させてもらったことが、大きな転機となりました。

 

援農ボランティアでぶどう栽培を体験 就農を志し、県立農業大学校へ

農業大学校では、勉強になると同時に、横のつながりができたことも大きかったとお二人

「援農ボランティアは、毎回とても楽しかったですね。それまで、農業は、土にまみれながらしゃがんで作業をするというイメージでしたが、ぶどう栽培は木漏れ日が射す棚の下で立ったまま作業するなど、まったく違っていて新鮮でした」と夕香里さん。来るたびに、芽吹き、緑が増し、房を付け、大きく実っていくぶどう畑に感動するとともに、ぶどうの房を形よく仕上げていく職人技など、クリエイティブな作業にも心奪われたと言います。
同じ頃、40歳を前に人生について考えるようになっていたのが祐彦さん。「例えるなら、40歳は人生の折り返し地点。今までは、無限にあるような気がして生きて来たけれど、ふと、『何か新しいことを始めるのなら、このタイミングなんじゃないか』と考えるようになりました。援農ボランティアでぶどう栽培を経験し、大きなやりがいを感じるとともに、いろいろな人と話す中で、リタイア後のセカンドキャリアではなく、できるだけ早く就農し、ぶどう農家として将来的な展望を持ってやって行きたいという思いが膨らんでいったことも大きかったと思います」。
こうして、就農へと 一気に舵を切ったお二人。その後は、東京で開催される「農業フェア」へ参加するなど情報収集に努め、そこで知った山梨県立農業大学校の体験プログラムに参加。農業大学校の先生や先輩就農者から詳しく話を聞く機会を得るとともに、行政機関の相談窓口を訪ね、移住相談もしたと言います。「あちこちから厳しい意見もいただき、当初考えていたほど簡単なことではないと感じる反面、改めて、『絶対やろう。頑張ろう』と気持ちも固まって行きました」。
平成25年11月に祐彦さん、翌12月に夕香里さんと、相次いで職場を退職。翌26年2月に甲斐市内に移住し、4月には揃って県立農業大学校へ入学。約10か月間学んだ後、平成27年2月に就農しました。
「ぶどう栽培は、スマートでクリエイティブな作業」と夕香里さん 昨夏の収穫作業。毎年一つひとつの課題をクリアしながら納得のいくぶどう作りを目指している

 

田舎でもあり、都会でもあり、ほどよい甲斐市。
ここでスタートできて、本当に良かったと思います。

千葉さんご夫妻、韮崎市のブドウ畑にて

現在、甲斐市龍地の賃貸住宅で暮らしながら、韮崎市や南アルプス市などに借りた畑に通い、ぶどう栽培にいそしんでいるお二人。
「農業をやっていくには、農機具の収納や車の駐車スペース、ぶどうの箱詰めなどができる場所など、ある程度の広さが必要になります。私たちは先輩のアドバイスもあり、庭付きの 一 戸建てを探したところ、甲斐市内の住宅地で良い物件に巡り会うことができました。甲斐市は山梨県の真ん中あたりに位置し、道路が放射線状に伸びているハブのような場所。周辺地域へのアクセスも良いので、紹介していただいた畑を、遠いからとか不便だからという理由で諦める必要がなく、とても助かっています。
畑仕事の合間に目を上げると、視線の先には、美しい山々の風景が広がっている
今、いろいろな方の紹介で7か所ほど畑を借りていますが、どの畑に行くにしても、車で10~20分程度。その日の天気によって、あるいは季節によって、周囲の山々の表情にも変化があり、それを眺めながら畑に向かえるので、朝から気分が良いですね」と祐彦さん。夕香里さんも、「甲斐市は、大きなスーパーもショッピングセンターもあり、都会での生活とほぼ同じ生活ができます。新しい場所で新しく農業を始めていろいろとうまくいかないこともある中で、それまでと変わらない暮らしができることは精神的な余裕にもつながる、とても大切なポイントだと思います。また、地域の方に温かく受け入れていただけたことも、ありがたかったですね。主人は、地域の消防団にも入れてもらいましたし、私も気軽に声を掛けていただいて、とても感謝しています。当初は、せっかく山梨で暮らすんだからもっと山の近くへとも考えましたが、今は、甲斐市でスタートできて本当に良かったと思っています」と、笑顔で話します。
地域の方と親しく声を掛け合う姿も 消防団の一員として、芝焼きに参加
就農から2年。巨峰や、巨峰より一回り大きな実をつける藤稔を中心とした生食用のぶどうと、カベルネ・ソーヴィニヨン、アリカントといった醸造用ぶどうを栽培し、出荷する傍ら、ネット通販やオリジナルワインの委託醸造、「KAISTYLE」などのマルシェでの販売にも取り組んでいるお二人。「1年目、2年目と、ある程度の収穫量を確保できましたし、当初植えた苗が、棚まで成長した畑もあります。まだまだ十分とは言えませんが、一歩一歩、確実に前進していると手ごたえを感じています。今後は、畑を増やし、収穫量を増やすとともに、より形も味も良いぶどうを目指したいし、ワインやジュースだけでなく、ジャムやコンポート、新たな調味料など、僕らならではの加工品の開発にも取り組んでいけたらと思っています」と、力強く話してくれました。

 

昨年秋に収穫したぶどうで造ったオリジナルのぶどうジュース

○ぶどう栽培地
山梨県韮崎市、南アルプス市
○事業内容
ぶどうの栽培、自家ブランドワイン、ぶどうジュースの販売
○ぶどう栽培種
生食用ぶどう : 巨峰、ピオーネ、藤稔、ゴルビー、サニードルチェ、
シャインマスカット、瀬戸ジャイアンツ
醸造用ぶどう : カベルネ・ソーヴィニヨン、甲州、アリカント

 

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